2011年4月20日

メディア報道の中の原発に関する内容には驚かされ続け慣れてしまった感が否めないが、その典型とも言えるような記事(下記)をまた見聞きすると、どうして?やはりそうか・・・と思いつつ、福島を中心とした被災をしている方々はどのような気持ちでこの記事を見ているのだろうかと思ってしまう。
*原子力安全委員会(班目委員長)が、原発事故に対する国の防災基本計画で定められた「緊急技術助言組織(委員計45人)」の専門家の現地派遣をしていないことが16日明らかになった。この組織は事故があれば「直ちに召集」されることになっている
が、一部(※)しか集められていなかった。
※:安全委は「召集とは全員集めるということではない。必要な委員は招集している」と説明している。
厳しく言えば、
・言い訳としか聞こえない
・必要な委員とは「安全委にとって都合のいい委員」と勘ぐられても仕方がない
であり、ドラッカーの言葉
「反対論がない場合には結論を出してはならない」
という組織運営の基本原則はいわゆる学識者(技術者)には「馬の耳に念仏」という
印象。
*かつて、事業仕分けがメディアを賑わした折に、科学領域の仕分けに顔を揃えて「歴史という法廷の場に立つ覚悟があるのか」と反対発言をしたノーベル賞受賞の科学
たちがいましたが・・・このような現状にどのような意見を持っている一度聞いてみ
たいと思ってしまう。
技術領域であり科学研究とは違うのでノーコメントといった答が帰ってきそうな気がするが・・・。
*19日の新聞では128億円の開発・運用費を掛けたSPEEDIのデータ公開について、安全委の問題が次のように指摘されている。
「2000枚以上の放射性物質の拡散試算図(シミュレーション結果)で安全委が公表したのはたった「2枚」のみで、国の情報発信の姿勢や防災計画の実効性が問
われ、海外から情報公開が不十分と受け止められる一因になったとの指摘」
これに対する安全委の見解:
・予測に必要な原子炉の諸データ(炉の温度、圧力・・・)が入手できず、事故前の想定通りの予測ができなかった。
・放射性物質の放射量データが乏しい。試算図は実際の拡散状況と異なり、誤解を招きかねない。

これも上記同様、言い訳にしか聞こえないし、実際と試算が異なるのは誰にとっても
自明かつ常識・・・。
以前に書いた組織の事例(以下)と似たり寄ったりと感じる。
沖縄をはじめとして多くの機密文書などが米国から公表されて、当時の関係者が「国家に良かれと思って判断した」などと嘯いて今なお議員でいる例もある
(矜持を持合わせしていない人に何を言っても仕方ないことです)。
「多額の開発・運用費 機能せず」というのはいつも見聞きする事例の繰り返し・・・
何も進歩していない現実がここにもある。
これに対する安全委の見解:
「班目委員長は、放射性物質の放射量などの情報を前提にシステムを構築したとし「今回のような(情報不足の)場合には使えない」と不備を認めた」
128億円の費用(税金)は学識者?たちの勉強代に使われたことになるとは思いた
くないものだ。
その一部でも返却してもらって、ようやく3食になった冷たい食事で防護服を着たま
ま雑魚寝の寝泊りを強いられている現場作業員の方々(大半は東電の下請け、孫請け
の方たちのはず)の作業環境改善の費用に充当してもらいたいものです(学識者たち
にそのような気概があれば上記のような見解は出てこないはず)。
また、電気料金のアップ、電源開発税の検討を開始という報道には是非もないと思う。
一方、それは一番安易な方法なのだから、まずはその案に至る検討のプロセスを開示
してもらいたいものだ。
その上で与党野党を問わず議員報酬を大幅カットするくらいの自らの痛みを伴う気概
(覚悟)と為政者としての反省を示してもらいたいものだ。