2012年8月10日

製造物責任法(PL)については次の高木健治郎氏のブログが詳しい。
http://takagikenziro.blog.fc2.com/blog-entry-123.html

この中から日本の製造物責任法(PL)についてのポイントと思う箇所を以下(~~~部)に抜粋する。
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「過失事故が起こっても、「認識できませんでした」と言えば、責任が免責される」
となるのです。福島原発事故で、この製造物責任法の免責事項から考えることは非常に大切だと考えます。そしてもし、「認識でいていた」とするのならば、昨年講義で行った荒茶等々を含め、放射能汚染によって風評被害、販売被害を受けた全ての農作物、観光被害や除染費用などを東京電力が払わなければならなくなります。現在、日本国政府から数兆円の資金が注入されますが、10兆円を超えることになるかもしれません。現実的な可能性があるかないか、は別においておいて、
☆東京電力が全電源喪失の危険性を「認識していた」のならば、製造物責任法の免責事項に該当せず、賠償責任が生じると高木は考えます。
さらに、
●(期間の制限)
第五条  第三条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したときも、同様とする。
ポイントは「3年」です。福島原発事故が起こって1年が過ぎました。後2年が過ぎれば、損害賠償の請求権は消滅します。大きなポイントだと思います。
さらに、
●第五条
2 前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する。
ポイントは「身体の損害は生じた時から」です。福島原発事故でガンや白血病になった時、20年、30年が過ぎていてもその時に請求できる、ということです。この製造物責任法では、
☆東京電力が「あなたのガンと福島原発事故で出た放射性物質の関係はありません」と証明しなければ、賠償をしなければならない、
のです。
ですから、これは非常に大きなポイントになります。もちろん、高木の法律を読んだ上での考えです。もし、この解釈が成り立つならば、裁判で裁判官が採用するならば、法律の文章には多様な解釈があり、その中から裁判官が1つの解釈を採用する、先ほどの食品汚染、観光被害など以上に大きな賠償額を負担しなければならなくなります。
ですから、これは推測ですが、現在行われている東京電力による賠償の文章の中に、
「今後一切の賠償請求を放棄する」
との一文があるのではないでしょうか。これを入れておくと、数十年後にガンや白血病などになった場合でも、請求出来ないことになります。私は、賠償のことに関心が薄いので詳しく分かりません。ただ、製造物責任法を、文面のまま(高木の考えで)読んでいくと、数十兆円になるかもしれない、というのが推測されます。
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更にポイントを更に絞ると、
*日本の製造物責任法は、単純な法律要件である「過失責任」であり、「時効」もある。つまり、これは人間が作った法にすぎない。
*一方、米国のPL法は、創り出した者が全ての責任、時効もなく、過失の有無の議論もなく、立証責任はすべて負う、というものであるようだ。

つまり、国は、そして、被災者は米国にPL法で製造者GE(たしかそのはず)に対して損害賠償を請求できるのではないだろうか?少なくとも、それを検討しない(あるいは助言しない)のであれば国や専門家たちのスタンスが問われるのではないだろうか。

以前、トヨタが米国の損害賠償訴訟で苦労した貴重な経験を忘れるべきではないと思う。