2013年10月16日

JR東海の「リニア中央新幹線」を2027年に品川~名古屋、2045年に新大阪まで
開通させるとの発表に識者は<東京五輪もの開催も決まったことだし、リニアがもたらす
「バラ色の経済効果」の夢に酔っている人が多いようだが、このプロジェクトは本当に進
めていいものだろうか>と疑問を呈している。

その論点と当方の感想は次のようなもの。

・需要予測にはだいぶ景気のよい数字が出されているようだが、これから高齢者が毎週
のように新幹線で旅行して回る世の中とか、通勤客の減少で今後確実にすいて来る
電車を尻目にリニア通勤をする人が激増するとかそんな想定で数字を積み上げたのだろ
うか。
⇒確かに大きなインフラに金をかける時の需要予測はいつもバラ色であったことを思い
だす。
それを信じることが一番楽なことであることから大概のプロジェクトは実施されてき
た歴史が多い。未だかってまともなその評価がなされそれが公開されたという記憶が
ほとんどない。

・これからの日本は世界でも未体験レベルの「減築の時代」に突入する。・・・これから
はインフラの上手な手入れと撤退のモデルケースを世界に先駆けて示すことこそ、日本
という国の役割ではないだろうか。
⇒ハードに関して言えば「減築の時代」。社会全般でいえば「成長から成熟若しくは低
成長、縮小社会」に入っていく日本を認めたくないのは分かるが・・・これからの世代
に負の遺産を残してはならないと思う。

・リニアという「大風呂敷」を広げることで株価は上がるかもしれないが、子や孫の世代
にとって本当に住みやすい将来を考えるならば、誠意を持って「国の減築」を支える企
業こそが評価されるべきだと思う。
⇒かつての首相宮沢喜一さんが「生活大国五カ年計画」というプランを発表したことがあ
るが失脚してこのプランも消えたという話を耳にしたことがある。
当時の広告批評で「生活大国ってナンですか」という特集が組まれてこの生活大国が論
評されたらしい。
その詳細に詳しくはないがまさに「経済大国から生活大国へ」を本気で考えることが必
要な時期と思う。