2014年8月1日

「美味しんぼ」騒動?が尾を引いている中、5月17日に「健康被害は確認されていない」と阿倍首相が発言しているとの記事掲載が有った。

コミックに表現されている鼻血についてそれが現実か否かを論じているのだが、作品としての表現と現実の違いに理解が及ばない人が多いことは当コラムでも何度か取上げた。
・2013.8.15NPO法人「日本禁煙学会」が映画「風立ちぬ」に付けたクレームに違和

・2013.8.22続 違和感:「はだしのゲン」に閲覧制限、2014.2.14「村上春樹の小説に
クレーム」という記事)。

騒動の原因は同じなので今回はそのことより健康被害が確認されていないと言う(嘯く)一国の首相の有りように触れたい。

2013.09.10の当コラム「五輪招致TOKYOに思うこと」に書いたことだが阿倍首相のプレゼンでの発言「福島は完全にコントロールされている」はまだ記憶に新しい。

また、2014.05.20のコラム「再び数字の扱いについて(福島原発による子供の甲状腺がん調査)」で触れたように現実の健康被害があることを知った上での今回も「健康被害は確認されていない」という発言である。

これで前科何犯になるのだろう・・・。
厚顔ぶりに脱帽としか言いようが無い。
いや、この位でなければ一国の首相は務まらないのかもしれないが・・・。

最近では自分の国のトップに関するメディア報道を眼にしたり聞いたりすることに辟易している自身に気付き厭になることが多い。
メディアも単発で取上げるだけでなく一連の有りようを取上げてくれれば当方もコラムで何度も話題にすることもないだろうにと思う。
本当に情けないことだ。

更に気掛かりなのは
・一見善意からのクレーム(とも見える)に委縮させられる表現の世界
・それらを目論む為政者の思惑
・特にICT技術の進歩が生み出すその匿名空間の酷さ加減
でありそれらは腹が立つと共に眼を覆うばかりだ。

それでも表現する自由は守りたいと思う。
そうしないと多くの異論、批判、告発が「善意」という名の下で封じ込められることになる。