2022年11月24日

荘内日報にこのようなコーナーがあることを知友(短歌の先達)のリレー紹介で知り投稿する機会を得て投稿したところ11月22日の紙上に掲載される運びとなりました。
その依頼状には次のように記されているので紹介します。
~ 一冊の本を通して、人と出会い、読書が広がることを願って始まった「私の一冊」。2014年6月から地域新聞「荘内日報」に本の紹介コーナーを提供していただいております。「読書のまち 鶴岡」をすすめる会から引き継いで、2022年4月より「チームまちじゅう図書館」が、連載を担当することになりました。 ~

文字数800という制限もあり何の本を選ぼうか悩んだ末に「一冊の本にまつわるエピソード」という切り口で藤原正彦氏著の「国家の品格」を選らんで次のような内容で投稿した次第です。

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取り上げる一冊は少し古いが2005年発行の「国家の品格」。著者は作家新田次郎と藤原ていの次男で数学者の藤原正彦氏。たまたま書店で「国家の品格」という書名が目に留まり購入。氏の書籍との初めての出会いとなった。
私がUターンする前に30年間の企業勤務を経験しその間で海外駐在を経験しているからだろうか特にこの本の第6章『なぜ「情緒と形」が大事なのか』の中の「真の国際人には外国語は関係ない」大切なのは「国語、読書などによる総合力」と言い切る多言語に長けた著者の言葉が重く心に残っている。
この論述に反応する自分には次のような社会経験があるからだろうと思っている。一つは企業入社して間もない頃の会社の英会話教室で米国人教師に「日本の結婚式で女性が身に付ける“角隠し”と“綿帽子”の違いは?」と問われ、私を含め誰も答えることが出来なかったこと。二つ目は後年の海外駐在現場のパーティ席上で欧米の技術者から日本の歌舞伎や文楽、狂言などについて問われてその答えに窮したこと。日本語ですらうまく語れないことを英語で出来ないのは明らか。これらの苦い経験を記憶に留めて今の私があると思っている。Uターンして20余年、今やGoogleの無料翻訳など便利な時代となり隔世の感(過ぎたる便利に潜む不便利もあるが・・・)。
本書の最後の章「国家の品格」の最後の項「世界を救うのは日本人」に記されている次の箇所に強く共感を覚えるのでその一端を紹介したい。
~~駐日フランス大使を務めた詩人のポール・クローデルは、大東亜戦争の帰趨のはっきりした昭和十八年に、パリでこう言いました。「日本は貧しい。しかし高貴だ。世界でただ一つ、どうしても生き残って欲しい民族をあげるとしたら、それは日本人だ」~~
このような考えは司馬遼太郎の「名こそ惜しけれ」という精神に通底するのではと思うのは私の勝手だろうかと自問する今日この頃。
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