2020年7月20日

「100分 de 名著」は取上げられる内容により時折見ているが今回のテーマは録画してゆっくり視聴している。       案内役の一人伊集院光のコメントでこの番組が分かり易い仕立てになっているように思う。

当方の吉本の著書との出会いは1967年と記してある(たしか2年生となり米沢に下宿を始めた頃)「吉本隆明詩集」が最初であった。

何度も読み返しているため今では擦り切れそうになっている吉本隆明詩集(思想社)の中から、わたしにとっての吉本の原点と思っている「恋唄」を以下に書き写す。

因みに、敬遠されがちの氏の著書で次の著書は食をテーマとしていてとっつきやすいと思う。

吉本隆明「食」を語る 朝日文庫

吉本が他界した時の当コラム(アーカイブス:2012.3.16)でも引用したので再録になる。

恋唄

理由もなくかなしかったとききみは愛することを知るのだ
夕ぐれにきて夕ぐれに帰ってゆく人のために
きみは足枷となった運命をにくむのだ
その日のうちに
もし優しさが別の優しさにかわり明日のことが思いしられなかったら
きみは受肉を信ずるのだ 恋はいつか
他人の血のなかで浅黄いろの屍衣のように安らかになる
きみは炉辺で死にうるか
その人の肩から世界は膨大な黄昏となって見え
願いにみちた声から
落日はしたたりおちる

以下略